“のんびり”と“便利”が心地よいバランスで同居するまち、山口市で暮らしてみませんか？ 山口市移住情報 すむ住む山口

いつ・どこから・なぜここに？

　2019年6月に地域おこし協力隊として下松市から移住してきました。徳地への移住を決めた理由は、山口県唯一の森林セラピー基地である徳地の森が大好きで、移住前から「森の案内人」として活動していたからです。「いつか徳地に移住したい」と思っていたところ、徳地で地域おこし協力隊の募集があることを知人に教えてもらい、すぐに応募しました。

地域おこし協力隊ではどんな取り組みを？

　任務は「原木しいたけ栽培技術の習得とブランド化」で、要は徳地の原木しいたけの継承です。徳地は古くから原木しいたけの栽培が盛んな地域ですが、近年は生産者が減少しつつあります。外から来た私はもちろん未経験者ですから、1年目は座学やセミナー、研修で原木しいたけの栽培方法を学び、2年目から市の所有する圃場を借りて試行栽培を開始しました。それまで家庭菜園で野菜を育てたことはありましたが、しいたけの栽培は初めて。種類にもよりますが、3カ月くらいで収穫できる野菜とは異なり、原木しいたけは、原木となるクヌギなどの木を切ってから収穫できるまで2年以上の月日を要します。まずはその期間に驚きましたが、しいたけ栽培の先輩たちに教えてもらいながらお世話を続け、初めて収穫できたときはとても嬉しかったですね。そして、どんどん原木しいたけ栽培の楽しさや奥深さを知り、生産者が減っている現実に対してもったいないと思うようになりました。

現在の状況・感想

　地域おこし協力隊の任期を終え、現在は原木しいたけに加えピーマンも栽培し、週に3日ほど山口県椎茸農業協同組合で働くという三足のわらじを履いています。本当は原木しいたけ栽培に専念するのが理想なのかもしれませんが、相当な量を収穫しないと生活していけませんので、一人でやっていくのは非常に難しいです。実際のところ、徳地で原木しいたけの専業農家は数件しかなく、他は全て兼業農家というのが現状です。私の場合、移住当初から徳地に住み続けることが一番の目標なので、原木しいたけを栽培しながら、他の仕事も手がけ、無理なくやっていけたらそれでいいと割り切っています。それに、勤めに出ながら原木しいたけ栽培ができるビジネスモデルを確立することも私の使命だと思っています。ちゃんと暮らせている私の姿を見れば、きっと原木しいたけ栽培にチャレンジしてくれる方が増えるはずなので。

移住後、地域にはすぐになじめましたか？

　もともと「森の案内人」としてちょこちょこ徳地に来ていましたから、そこは問題ありませんでした。むしろ、原木しいたけを継承するということで歓迎されましたし、市のご担当者にも地域おこし協力隊のOBにも親切にしていただき、割とすぐになじめた方だと思います。徳地は地域おこし協力隊のOBが結構いるので相談できる環境がありますし、地域の皆さんも移住者を迎え入れるのに慣れていらっしゃるのだと思います。せっかく受け入れてもらえているので、今後は地域の皆さんに季節のものでつくる料理や漬物、味噌などの作り方も習いたいなと思っています。

山口市に住んで戸惑ったことは？

　以前から徳地に通っていたこともあり、特に戸惑うことはありませんでした。面接時、「カラオケとかボウリングとか、若者向けの娯楽はないけど大丈夫？」と聞かれましたが、私は以前書店に勤めていたくらいの読書好きのインドア派ですから、気にもなりませんでした。むしろ休日は静かな環境で読書に集中でき、とても快適に過ごしています。でも、若者が好む娯楽が必要な方にとっては少し寂しいんでしょうね。とはいえ、30分車を走らせれば、山口市の中心部にも防府市にも行けますから、困るほどではないと思います。理想と違ったことがあるとすれば、住む場所についてです。もっとまちから奥に引っ込んだ山側に住もうと思っていたのですが、仕事の都合上断念しました。徳地は冬に結構雪が積もりますので、あまり奥に行くと家から出られないんですよね。任期中は市が用意してくださった住宅に住んでいましたが、退任後、住む場所を決めるときには自分の理想と現実とですごく悩みました。

山口の魅力は？

　やっぱり豊かな自然だと思います。特に、徳地の森林は今でも一番大好きな場所です。それと、空気の清々しさや水のおいしさ、星の美しさは山口県内でもダントツだと思っています。地域の方々も素敵な人ばかりで、積極的に声をかけてくださったり、ちょっとした世話を焼いてくださったりと、どちらかと言えば人見知りな私にとってはすごくありがたいことです。正直、もっとよそ者扱いされるのかなと思っていたのですが、全然そんなことなかったです。あとは、県内各地へのアクセスがいいのも魅力だと思います。山口市は県の中心部にあるので、どこのエリアにも足を運びやすいです。下松市に住んでいる時より、断然市外に行く機会が増えました。