» 河口 隆 [山口市移住情報サイト] すむ住む山口

先輩移住者の声

河口 隆 さん

[山口市]

(株)アワセルブス 代表・山口県よろず支援拠点 コーディネーター/WEBアドバイザー

  • 創業
  • 街なか

取材年月:

ファブラボ山口

〒753-0093 山口県山口市大殿大路133-1

(大殿地域交流センターから徒歩1分)
【web/email】
 https://fablabyamaguchi.com
    info@fablabyamaguchi.com
【営業時間】
 オープンデー(無料開放日):第3日曜日   13:00~18:00
 スポっとプラン(有料・要予約):月~金曜日  10:00~18:00

いつ・どこから・なぜここに?

 山口県宇部市の出身です。就職で福岡に引っ越して、2009年に一度地元に戻ってきた後、2015年から山口市に住んでいます。

 福岡ではシステムエンジニアの仕事をしていまして、宇部に戻ったのも仕事の関係です。何か新しいことをやりたいと思っていた時期にIoT (Internet of Things)という言葉が使われ始めて、パソコンの中のシステムだけではなく、モノとインターネットをリンクさせていったら面白そうだと思っていたのと重なったこともあり、2011年に『アワセルブス』という屋号で創業しました。山口市に引っ越してきたのは、『ファブラボ』が山口市にオープンするにあたって運営者を募集していて、その仕事を担うことになったからです。

なぜ山口でこの仕事を?

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 株式会社アワセルブスは、ホームページの制作やプログラミング、それにファブラボ山口を絡めてモノづくりのお手伝いをする会社です。
 ファブラボはアメリカで始まった、市民のためのオープンラボです。3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル機器から、様々なアナログの工作機械までを備えた実験的な市民工房で、個人による自由なモノづくりの可能性を拡げ、「自分で使うものは自分で作る文化」の醸成を目指しています。世界中に広がっていて、日本国内にも今の時点で18ヶ所あります。ファブラボ山口は、オープン当初から一昨年(2017年12月)まで商店街の中にあって、施設に住居が含まれていたこともあり、宇部から山口に引っ越してきました。デジタルモノづくりの講習会や、モノづくりワークショップを開催したり、毎月第3日曜日はオープンデーとして、無料で予約なしに誰でも使える日になっています。平日は予約制・有料でファブラボにある全ての工作機械を使ってもらえます。

 2018年7月から、WEBデザイナーを育成する『デジタルハリウッド STUDIO山口』のトレーナーを担当させていただいており、山口市で優秀なクリエイターを輩出するお手伝いをしています。さらに今年度(2019年4月)からは、やまぐち産業振興財団の『山口県よろず支援拠点』でコーディネーター・WEBアドバイザーとしての仕事も始めました。創業する方や、既に事業をされている方の、販路拡大や広報PRをITの専門家としての立場からアドバイスします。国が全国に設置した組織ですから、相談料などは無料です。

現在の状況・感想

 4年前にファブラボ山口が始まった時に運営を任されることになったのは、自分にとって良いタイミングだと思いました。3Dプリンターが世の中に出てきて、自分も注目していたし、「これは来る!」と思ってすごく期待していたんです。しかし実際は、興味がある人は多いものの、未だにどうやって何に使って良いのか分からない、という感じで、「まだ来ていない」気がしますね。とはいえ、デジタルとモノづくりをつなげる仕事ができているので、良かったことには変わりません。ファブラボで一番人気がある機材はレーザーカッターで、利用するためにわざわざ県外から来られる人もいます。

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 去年(2018年)商店街から大殿に移転して、施設としての環境も良くなったし、隣近所に新しいお店が増えつつあったりで、良い方向に向かっていると思います。お店どうしのコラボもあったし、ご近所づきあいから新しいことが始まりそうな予感がしています。ここに来てからInstagramのフォロワーが増えたんですよ。都会の人からすると、地方で先進的なことをするのがかっこ良く見えるのかな、とか思っています。山口でいうと山口情報芸術センター[YCAM]がその良い例で。ファブラボ山口も大殿大路の古民家でデジタルもアナログも使ったモノづくりをしているのがかっこ良いと思われているのかもしれない。どんどん都会の人を羨ましがらせていきたいです(笑)。

 山口市に引っ越して来た時は、商店街の中に住んでいたので、常に人通りがあるという印象でした。大学も3校あるから若い人も多い。市の中心部は職場や繁華街と住環境が隣接していてコンパクト。宇部市は繁華街と住宅街が離れているので、山口市のコンパクトさはとても便利に感じました。知り合いにばったり会う確率も高いし、「今日あれをやろう」とか「今日どこへ行こう」とか、ハプニング的に新しいことが起こりやすい環境。福岡市もそんな感じでした。みんなが同じエリアに集まっているので、「今日飲みに行こう」からちょっとしたアイデアが生まれて、それが仕事に繋がったりする。この環境が実はすごく大事だと思っています。想定外の面白さがあるし、予定調和なことからは、なかなか新しいことは生まれないから。山口市の人は、けっこうアポなしで訪ねて来ることも多いですよね(笑)。

 ある時、Yahoo!に勤めている高校の先輩から「山口でハッカソンをやりたい」という相談を受けまして、ファブラボの主導でNASA Space AppsというハッカソンをYCAMでやりました。審査員をYCAMのスタッフや、別のプロジェクトで来ていたアーティストに頼んだりしながら。その年からYCAMではスポーツリサーチというプロジェクトが始まったのですが、たまたま同時期にそれとは全く関係ないNASA Space Appsを行ったことで、私もプロジェクトに誘って頂き、そこからYCAMの人気イベント「スポーツハッカソン」、「未来の運動会」に繋がっていきます。YCAMのスタッフとはよく飲みに行きますし、お酒の席で出たアイデアが新しいプロジェクトに発展することもある。こういう職場と住環境の近さから生まれるパブリックとプライベートの境界の曖昧さっていうのは、新しいことが生まれるのに、とても大切な環境だと思います。

 

地方への移住にあたり不安だったことは? 実際は?

 仕事の都合で福岡を離れることになった時は、福岡での転職も考えました。そのくらい居心地が良かった。結局仕事の関係で山口に戻って来ることになったけれども、戻る前は仕事があるのか、服とか日用品の買い物に不便はないのか、とか心配でした。実際は、ネット通販もあるし、昔住んでいた頃みたいな田舎暮らしの不便さは無くなっていました。その反面、地元との繋がりが薄れたような気はしましたね。

 山口には若い人が遊びに行けるような場所や娯楽が少ないですよね。若い人が生き甲斐を見つけにくい環境なんじゃないかと思います。なので、若い人が居着いてくれるような仕事を作り出したいんです。

 

山口の魅力は?

 町がコンパクトで、温泉があってお酒と魚が美味しい。湯田温泉では山水園がお気に入り。露天風呂が好きなので、あとは秋穂のあいお荘。以前、YCAMのチーフ・キュレーターを担当されていた阿部一直さんが仰っていたのですが、あいお荘の露天風呂からの景色は「一瞬エーゲ海」。目の前に瀬戸内海の広大な景色が広がっていて気持ちが晴れ晴れとします。あとは、盆地で山に囲まれているから、どこにいても山が見えるのが良いですね。山を見ると生命の息吹を感じます。

 

山口に住んで戸惑ったことは?

 冬の冷え込みがきついです。宇部に比べると2−3度低いんじゃないですかね。

 実際には戸惑ったことはそんなにないけれど、敢えて言えばスーパーの選択肢が少ないこと。3つくらいあると、ローテーションでいろいろ回れて気分が変わるのに。

 あとは、さっきも言いましたが、アポなしで人が来る(笑)。

 

今後の展望

 

  若い人が定住してくれる環境を作りたいので、若い人が楽しいと感じる職場環境を作って生きたい。ITの仕事を若い人に依頼して、クリエイターの育成を図っています。YCAMとのプロジェクトにもスタッフを積極的に投入して、普段から若い人たちができるだけYCAMと仕事で関わるようにしています。YCAMの人たちは県外出身者が多いので、外からの目で山口を見ています。山口のオリジナリティを目ざとく見つけてくれる。外からの視点を持っている人と交わることで、地元、山口の見方が変わると思うんです。YCAMがあることによって、常に面白い人たちが回遊するし、そういう人が能動的に集まる場所があるっていうのは、山口にとってすごく良いことですよね。今は、山口でキャリアを積むのが難しい状況ですが、若い人が「自分はこれをやっているんだ」と胸を張って言える仕事、自信を持って職務経歴書にかける仕事をつくりたい。次のキャリアにつながる実績を身につけてもらいたいですね。

 自分の場合は、目指したい大人を身近に見つけることができなくて、県外に出ました。県内に目標としたい大人や、挑戦したい仕事を増やしていきたいし、そういう会社が山口に増えれば良いと思っています。

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移住を考えている人・移住してきた人にアドバイスを

 ITの仕事だったら、地方に住んでも仕事の内容を変えずに、生活環境だけレベルアップする、みたいなことができます。田舎暮らしだからといって、仕事は一次産業だけじゃなくて、選択肢はありますし。ちょっとしたアイデアで、仕事を続けながら田舎暮らしを満喫することができる。自分の会社では地元のクライアントさんが約9割ですが、人によっては東京や大阪のクライアントからの仕事を山口でしている人もいます。

 山口県よろず支援拠点のような、起業や創業後の支援の仕組みもけっこう手厚く用意されているので、地元企業にも力を付けてもらって、IT関連の人の移住や定住を促す土壌を作っていきたいですね。

 取材年月:2019年4月

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